№699 「正社員」が嗤われた時代

 前回は西武鉄道の1987(S62)年3月改正の時刻表について書きました。
 巻頭のカラーページには西武鉄道の事業案内等に加えて各種広告が並んでいるのですが、この中に、現代の雇用状況を考える上で、看過できない広告がありました。
 乗り物と直接は関係なくなるのですが、敢えて取り上げます。
 学生援護会の「an」の広告です。
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*キャッチコピー*
(フリーワーカー、という方法)
たとえば、カラオケが絶対いやだから、正社員になりたくないって人もいると思うし。
学校にいくから、8時間以上はこまるって人。
やっぱ才能がありすぎて、一つの仕事じゃもったいないって人。
さらに、目的をさがすために、いろいろやってみるという人まで、とてもあなたらしくて、フリーワーカーだと思います。
それぞれの方法で。
タネならぎっしりつまっていますよ、日刊アルバイトニュース。


 このコピー、特に今「就活」で悪戦苦闘する若い人たちには、どう映るでしょうか?

 西武鉄道時刻表第6号が発行された1987(S62)年は未だ「バブル経済」の真っ只中にあり、就職戦線も労働者の側が会社を選べる、「売り手市場」の時代だったと思います。
 そんな中で、一つの会社、一つの職場に固執せず、会社をとっかえひっかえして、より有利な条件を求めるやり方がもてはやされていました。
「会社にこだわらない生き方」という言い方で。
 乱暴に言ってしまえば、一つの会社に留まって仕事を続ける「会社人間」を、嗤っていたのです。

 この広告は、今の私達や、それより少々上の世代に向けて発信されていました。
 だから翻って今、「バブル崩壊」や「リーマン・ショック」の後で、就職先を探すのに四苦八苦する若い人たちを見ていると、「罪深い事をしているなあ」と感じてしまいました。

 だからどんな生き方をするか、どんな働き方をするか自体は確かにその人一人一人の自由だと思うけれど、他の人のやっていることを嗤っちゃいけなかったんです。
「会社人間」だって、まあ尊敬する必要もないけれど、軽蔑してはいけなかったんです。
 雇われる側がバブル期に雇う側との関係を自ら希薄なものにしてしまった事のツケが、四半世紀経って自らに重くのしかかる、そう考えるのは飛躍しすぎでしょうか?

 今でも「正規・非正規」の議論の一方で、製造業の不振もあるのか、「スティーブ・ジョブス」や「フェイスブック上場」の影響もあるのか、「起業」がもてはやされる風潮もあるようですが、だいたい100人いたら100人全員に起業の能力があるのでしょうか?
 軽々しく口当たりのいいセリフに乗っかっちゃうと、後で痛い目にあいますよ。

「仕事を探す」「仕事に就く」「仕事をする」事をナメてかかってはいけない。
 偉そうな事は言えないけれど、だけど、これだけは言っておきたいと思います。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

 明日・明後日の更新はお休みします。
 お休みする曜日は、当分日・月曜日のままとします。
 なお明日の晩、本体の更新を行います。
 道南バスを新規公開する他、函館バスを5年ぶりに更新し、画像を追加します。
 関東地方ではポスト新長期規制モデルを中心に画像の追加を行います。
 また、今年度から路線バス事業者と関連が深い貸切・特定事業者も積極的に取り上げる事にしていまして、第1弾として、西武総合企画の車両を、1台ですが公開します。

《今日のニュースから》
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