№752 AF447便墜落事故 最終報告書公表

 以前№735で、2009(H21)年6月1日に発生した、エールフランス(AF)447便の墜落事故について、米ABC放送の報道番組から引用して取り上げましたが、昨日、事故を調査していたBEA(フランス航空事故調査局)から最終報告書が公表されました。
 再びABCが取り上げていて、今回は録画もしましたから、前回とほぼ内容が被るのですが、その内容を簡潔に記してみます。

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ABC「Night Line」から
 離陸後3時間半経った午後11時(現地時間。GMTでは午前2時で、CVRに寄れば2時01分40秒頃)、高度11,000m上空、ブラジル沖1,280㎞の所で、雷雲に突入しようとしていたのに、機長は予定通り休憩に入った。
エリザベス・バーガス記者:どこで休憩を取るのですか?
航空安全協会 ビル・ヴォス氏:すぐ先。10秒で戻れる。
 その数分後、速度を計測する「ピトー管」が突然故障、これにより自動操縦システムが解除された。午後11時10分、全乗客・乗員の運命は、3人のパイロットの中で、最も経験が浅い32歳の副操縦士(コクピットの右側に座っていた)にゆだねられる事になった。
 シミュレーターの中で、最後の瞬間を再現してもらった。
バーガス:自動操縦システムが解除された?
ヴォス:自動操縦が解除されるとこうなる。まず警報が鳴り、手動に切り替わる。
 突然コンピューターではなく、副操縦士が手動で操縦する事になった。この時点で彼は最初のミスを犯した。
バーガス:とにかくそのままの状態で飛行を継続するのが第一だったのに、実際には機首を上げたのですね?
ヴォス:ゾッとする判断だ。
 機首を上げる事はしてはならない。機体が急降下してしまう。飛行中最も不可解で、悲惨な結果を招いた数分間だった。
 まもなく失速警報が流れる。しかし誰も注意を払っていないようだった。
ヴォス:(失速警報は)54秒も鳴り続けていた。かなり長い。
 失速状態が続いて、飛行継続自体が困難になる。CVRに寄れば、副操縦士は「機体のコントロールが出来ない(I don't have control of the airplane at all. CVRでは2時11分32~34秒位)」と言っている。その時までには、もう一人のパイロットが機長を呼び戻そうとしている。「どこにいるんだ?戻ってくるのか?(Where is he? Is he coming?)」と言っている。
バーガス:「どうなっているんだ?」と繰り返し言っていますよね?「機長はどこだ?」と、6回も呼んでいますね。
 理由は不明だが、機長が戻ったのは1分以上経ってから(CVRではGMT2時11分45秒)。「何が起こっているんだ?(What's happening? = CVRでは「What are you doing?」と聞いていたようだ)」と機長が聞き、副操縦士の一方が「解らない(I don't know what's happening?)」と答えている。  
バーガス:その時コクピットで何が起きていたと思いますか?
BEA ジーン・ポール・トローデック氏:パイロットは状況を理解できず、機体が失速しているとは解らなかったようだ。
 数秒以内に機体は190㎞/h以上で機首をやや上げたまま急降下していく。混乱の中、32歳の副操縦士は、計器の数字が間違っていると考える。「高度が下がっているのか?(Am I going down?)」と聞いている。縦揺れが続く中、コクピットは混乱の度合いがますます高まり、副操縦士2名は互いに矛盾する操作を行っていた。
バーガス:高度がどの位になると、機体は墜落を回避できなくなる?
ヴォス:3,000~4,500mで選択肢がなくなる。
 もう遅すぎた。しかしパイロット達が墜落不可避と悟ったのは、正に最期の瞬間になってからだった。CVRで聞き取れる最期の言葉は、32歳の副操縦士の「どうなっているんだ?(GMT2時14分25秒)」というものだった。
(GMT2時14分28秒に録音が終了=墜落だろう)
戦闘機パイロット ステファン・ガンヤード氏:(コクピットは)全く混乱していた。パイロットはコンピューターが表示する内容にすっかり気を取られ、多くの犠牲者を出す結果となったのだ。避けられた事故だった。航空機は完璧だったのに、パイロットの不注意で海に突っ込んでしまったのだ。

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 BEAの最終報告書は、BEAの公式WebサイトからPDFファイルをダウンロードできるので(今日現在では仏語と英語)、詳しくはそちらを御覧下さい。
 この最終報告書が発表された事で、これから専門家による見解が色々出るでしょうし、所詮ドシロートの私がどうのこうの言ってもしょうがないのでしょうが、一つだけ。
 前回この事故を取り上げた時、1994(H6)年4月に発生した、名古屋の中華航空機事故を連想したと書きましたが、報告書のCVRの記録や、このABCのレポートを斜め読みした限りでは、中華航空機事故の時以上に、不必要なヒューマンエラーが連続して起きていたように感じます。
「指揮系統の混乱」という点では、たまたま同じ日、日本で福島第一原発事故の政府事故調査委員会による報告書が提出され、前所長は「(官邸の直接介入で)指示命令系統が無茶苦茶になった」と証言していると言う事でした。
 旅客機にしろ原発にしろ、その他全てがそうだと思うけれど、ハイテクを駆使している操縦・制御系統に重大な異常が発生した時、それを立て直すための指揮系統が破綻したらどういう事になるのか、改めて怖いよなと感じさせられました。
 就航が相次ぐ日本のLCCは皆エアバスのA320型を導入しており、さらにスカイマークとエアアジア・ジャパンは今回の事故機と同じA330型を導入すると発表しています。さて、この報告書をどう読み、どう生かすのでしょうか。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

 明日・明後日の更新はお休みです。
 暑くてもいいけれど、そろそろ晴れて欲しいなあ。

《今日のニュースから》
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