№1565 駅の時刻表から見る 私鉄ダイヤの変遷 16.京急空港線 羽田空港国内線ターミナル駅<後>

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 京急線の羽田空港アクセスの場合、品川・東京方面と共に、横浜・三浦半島方面も重要な市場になります。20世紀末より限定的ながら横浜方面への直通列車も設定されるようになったが、京急蒲田駅立体化工事の進捗に合わせて順次増強が図られていきます。また、京成線の成田空港方面スカイアクセス開業も、ダイヤ策定に大きな影響を与える事となりました。
 今回は、日中に横浜直通が設定されるようになった、2002(H14)年10月改正からご覧頂きます。これ以降ほぼ毎年ダイヤが変わっていきます。

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2002(H14)年10月12日改正
 京急蒲田駅で横浜方から空港線1番線に進入するルートができた事で、本格的な横浜方面直通運転が始まる事となりました。
 本線で既に土休日に、品川~金沢文庫間で日中の快特12連運転が行われていたが、この内の半分の増結4連を羽田空港発着に変更する形となりました(羽田空港発は主に浅草線直通(SH)、に連結する浦賀行、羽田空港行は泉岳寺行(A)に連結する新逗子発)。羽田空港~京急川崎間が特急、京急川崎~金沢文庫間は快特に増結され、その先は普通電車で運行。
 羽田空港発は、京急川崎では一旦引き上げ線に入り(渡り線を新設)、品川からの快特をやり過ごしてからホームに進入して連結するユニークな運行形態でした。
 土休日の夜間は羽田空港から快特として運行するが、同じような形態でした。
 この形態が、基本的には10年続く事になります。
 京成側のダイヤ形態の変更により、日中のエアポート快特は京成線内は快速として運行、羽田空港発のみ4本が成田空港直通となりました(京成佐倉で特急に抜かれてしまうのだが)。2週間後の10月27日に芝山鉄道が開業、芝山千代田行が設定されます。

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2003(H15)年7月19日改正
 品川方面行はエアポート快特快特急行の2本立てとなりました。日中の京成直通急行快特に変更、エアポート快特と合わせて日中は20分間隔としました。北総線直通を特急から急行で運転。
 横浜方面は、土休日の浦賀行の半分を新逗子行に変更(品川発の増結車と入れ替え)。羽田空港行も新逗子発の半分を浦賀発として、共に40分間隔で直通となりました。

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2004(H16)年10月30日改正
 都営浅草線内のエアポート快特の運転時間帯が拡大されました。
 平日は新たに京急線内急行→品川からエアポート快特が6本設定されています(京成線内は特急または通勤特急)。
 土休日は、夜間の横浜直通は快特から特急に変更。品川方面行は、北総直通の快特が見られるようになりました。

 2005(H17)年10月2日改正は、全体的には比較的小規模な修正にとどまったと言えます。京急蒲田駅の空港線1番線を仮線に移設。

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 日中の横浜方面直通は、京急川崎からの連結の相手も浅草線直通(SH)→泉岳寺始発(A)に変わり、空港線内は品川方面行快特の前→後の運転になりました。
 京成側のダイヤ形態の変更で、日中のエアポート快特快特は京成佐倉折返しに変更。

 2007(H19)年12月2日改正も、比較的小規模なものになりました。

 2009(H21)年2月14日改正は、早朝・深夜の蒲田折返しの普通を品川方面直通の急行に延長。

 いよいよ2010(H22)年、この年は3回、ダイヤの変更がありました。
 まず5月16日には、京急蒲田付近の上り線が高架化(空港線は糀谷まで)されるのに伴ったもので、エアポート快特の大幅増発、エアポート急行の設定など多岐に渡りました。
 ところが、京急のリリースが出たのは、改正のわずか9日前の7日(それ以前にも一度発表があったが、すぐに消されたとも聞いた)。
 №212で記したのだが、色々問題視される部分があったようで、特にエアポート快特の「蒲田飛ばし」が、地元との軋轢を生んだとかされているようでした。本当の所は解らないが。
 次いで7月18日、京成線成田スカイアクセスが開業、羽田~成田両空港間を結ぶエアポート快特(京成線内アクセス特急)が運行を開始します。
 そして10月21日、羽田空港の国際線ターミナルが新規オープン。京急線も国際線ターミナル駅を新設、同時に羽田空港駅も、「羽田空港国内線ターミナル」と改称しました。

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2010(H22)年10月21日改正
 この3度の改正を踏まえた時刻表をご覧頂きます。
 20分間隔となったエアポート快特は2本に1本がスカイアクセス経由で成田空港へ直通、残りは浅草線~京成線内は各駅停車で運行。
 品川~羽田空港国内線ターミナル間は、国際線停車で最速16分。
 横浜方面は、エアポート急行として独立した運行となりました。京急蒲田以南は久しぶりの「急行」設定となるが、以前の急行とは大幅に停車駅が異なり、仲木戸・杉田に新規停車(他に昔は「特別停車」扱いだった井土ヶ谷・弘明寺・能見台を正式な停車駅に設定)の一方、生麦・子安・黄金町・京急富岡は通過となりました。仲木戸・杉田の停車は、隣接する東神奈川・新杉田(本当は大分離れているが)からのJR線やシーサイドラインからの乗り換えを考慮したもので、8連運転を行うのでホームの延伸も行われています。
 この時点では平日の夜間のみ、快特増結4連の直通特急の設定が残っていました。
 品川方面行の急行エアポート急行と呼称、エアポート快特との2本立てとなりました。
(土休日の最終品川行きのみ、京急蒲田停車の快特として存続)
 空港線の京急蒲田~糀谷間も上り線が高架化されるが、単線並列となって、上も下も上下列車が両方走る事になります。糀谷の先の大鳥居との間にクロスが設けられるが(信号扱いでは京急蒲田駅構内の扱い)、供用区間がかなり長くなるので、ダイヤの策定は大変だったろうと思われます。横浜方面行エアポート急行は、上大岡に加えて京急川崎でも快特の待ち合わせがあり、所要時間が結構かかっていました。

 翌2011(H23)年は東日本大震災に伴う節電ダイヤ(普通間引き、快特の最高速度抑制など)を踏まえた後、9月23日に改正が行われました。全体的には修正程度で、早朝のエアポート快特快特に変更しています。

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2012(H24)年10月21日改正
 ついに京急蒲田の下り線も高架切り替えが成り、再度大幅な改正が行われました。
 日中及び土休日の品川方面は、エアポート快特快特でほぼ統一されました。結局エアポート快特は40分おきとなり、他は京急蒲田に停車する快特となりました。地元の顔を立てた格好でしょうか。
 ダイヤに直接関係ないが、エアポート快特はこの改正から、案内上の識別色が緑→オレンジに変わっています。京急蒲田停車の快特と区別する一方、京成側のアクセス特急とイメージを統一させるためと思われます。
 横浜方面は、エアポート急行が10分間隔に増発となりました。一部6連の運用もあります。快特増結の4連特急は完全になくなりました。
 この改正で、京急が京急蒲田立体化事業着手の際に掲げてきた「品川方面・横浜方面共10分間隔運転」の目標が達成された事になり、以降このダイヤが空港線の基本となります。ただ、空港利用者は良いが、快特系が通過する空港線4駅は、対品川方面では京急蒲田で上下移動の乗り換えが必要になるので、この点での評価はどうか。

 2013(H25)年10月26日改正は小修整程度。京成側で、LCC早朝便就航に対応した列車の設定がありました。

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2014(H26)年11月8日改正
 都営浅草線のエアポート快特が20分間隔となりました。京急線内快特(青砥・京成高砂行)が、浅草線内はエアポート快特、さらに京成線内は快特に再度変更し、本線の特急に接続する形になりました。
 日中のエアポート快特は、品川~羽田空港国内線ターミナル間で最速14分に短縮されました。平日の夜間にも増発されています。
 平日24時台の神奈川新町行特急をエアポート急行に変更。京急鶴見に新規停車、だけなのだが。

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2015年12月5日改正
 そして、現在使われている、昨年12月改正の時刻。
 本線「モーニング・ウィング」の新設が話題となった改正だが、羽田空港関係では23時台に金沢文庫行エアポート急行の増設定が行われています。

 以上、本当に簡単ながら、羽田空港発着を中心にダイヤを振り返ってみました。いつもの如く、舌っ足らず、説明不足な点があるだろう事はご容赦ください。

 さて、2012(H24)年改正で、一応の完成を見た京急の空港アクセスダイヤ、だが、今後はどうなるだろう?
 何より4年後に東京オリンピック・パラリンピックがあり、それを見据えて羽田空港では都心上空通過新ルート設定による国際線の大幅増便も想定されています。
 国内線は新幹線開業・延伸もあって微妙だが、全体的には増加傾向は続くのだろうと思われます。
 従って今のダイヤもこのまま持ちこたえる事が出来るか、一部にはさらに増発が必要だろうとする意見も聞こえてきます。
 しかし現在のダイヤでは、品川~京急蒲田間は日中でも1時間当たり本線快特6・空港線エアポート快特and快特6・普通9本で合計21本、複線としては、京王線笹塚~調布間などと並ぶ高密度ダイヤになっています(27年前は15本だったから既に大幅増)。この上にさらに空港直通列車を増やすのは、不可能ではないにしても、所要時間の増大などの副作用を招く事になるでしょう。本線系統の運行形態をどうするのかも問題になってくるかも知れません。
 京急としても、国内線駅の引き上げ線増設・品川駅2面4線化などが事業計画で挙がっているが、その中間の本線・空港線区間の線路容量が不足気味と思えるので、どの程度効果を上げられるか。羽田空港沖合展開事業がもう少し早かったら、例えば品川~京急蒲田間で青物横丁付近連続立体化事業と同時に複々線化、といった事も出来たかも知れず、少々惜しまれる点ではあります。
(無論この区間は高架化だけでも側道の確保ができず、特殊な工法を採用しなければならなかったのだから、複々線化までは無理だったろう、とは思うが)
 また、国内線駅のホームが1面2線で手狭になってきているのも惜しまれる所で、最初から2面3~4線位で造れていたら、とも思うが、空港の敷地内ゆえ、京急だけではどうにもならない部分もあるので仕方がなかったか。
 それと、特に国際線の深夜・早朝枠もあって、運行時間帯の拡大も検討すべきかもしれないが、市街地を走る事と、保守の間合いも考えると、これも現状では難しいかと思われます。
 とりあえず考えて欲しいのは、特に相互直通列車の種別名称の在り方。品川と押上で頻繁に名称が変わる列車が少なくないが、関東の鉄道システムに慣れていない利用者(特に外国人)が多くなると、混乱を与える元になります。無論事業者各者の事情があり、線路容量からくるダイヤの問題もあるから、簡単には行かないのも事実だが。
 また、特にエアポート快特(~アクセス特急)では、座席指定車両の導入も考えられるかも知れません。品川までなら15分程度だから必要ないかも知れないが、それより遠くへ行く利用者も少なくないので。いずれにしろ、色々な面で相互直通各社の連携の強化が欠かせません。成田空港へ鉄道だけで行けるというアドバンテージを生かす事も重要です。
 オリンピック・パラリンピックまでの4年間、京急の羽田空港アクセスは(本線も含めて)どう変わっていくのでしょうか。日本の空港アクセスそのものの在り方への影響まで含めて、注目される所です。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 京王と都営新宿線は昨日、9月16日(金)のダイヤ改正を発表しました。京王は、平日で橋本5時台発区間急行を都営新宿線直通に変更、高尾山口発準特急を17時台まで運行、井の頭線では8時48分発急行を増発、など。都営新宿線は、平日夕ラッシュ時以降の急行系と土休日の急行を全て10連で運行。京王では、パスポートカード会員を対象としたキャンペーンを実施との事。京王は今回の改正も、金曜日実施だ。どうしてだろう。

 JR北海道が、石勝線の夕張支線(新夕張~夕張間)の廃止を夕張市に申し入れました。先に市の方から提案があり、代替交通(バスターミナルを整備など)の整備への協力を申し入れたもので、これをJR側が受け入れた形です。この区間は元々は夕張線の本線で、石勝線の開業で支線化したものだが、民営化以降の四半世紀強で利用者が10分の1に減少しているそうで、輸送密度118人とは、鉄道としてやっていくのはほぼ無理でしょう。既に夕張鉄道の路線バスが並行して走っているので、代わりの足は問題なさそう。

 たまたまJALのフェイスブックを閲覧していたら、客室本部長の方によるジャンボ機墜落事故の話がありました。この方は事故当日は翌朝の乗務に備えて成田近くに投宿中に事故を知った、翌朝はただただお詫びのみで申し訳なかった、と記されています。事故を起こした交通事業者の関係者、特に直接の当事者ではない方の体験談も、結構貴重なものではないかと思います。JALに限らず、航空に限らず、多数の犠牲者を出す大惨事は被害者はもちろん、「加害者」の関係者にも(まっとうな精神の持ち主なら)、重いトラウマを残すものだと思います。二度とゴメンです。

《今日のニュースから》
15日 韓国の国会議員10人 竹島(独島)上陸
16日 甘利前経済再生担当大臣元秘書2名不起訴 捜査終結
17日 高浜原発3・4号機 核燃料取り出し作業開始