№1769 私鉄名車列伝139 名古屋鉄道6000系

「私鉄名車列伝」、今回から西日本に移ります。まず、名鉄6000系です。
「パノラマカー」に代表されるように、40~50年前位の名鉄の本線系統の電車は、ほとんど全てが2ドアクロスシート車、毎日毎日ロングシート通勤車にスシ詰めにされる、特に関東の鉄道ファンにとっては垂涎の的でした。しかし、その2ドアクロス車がもたらすラッシュ時の混雑は、関東や関西よりも酷い状況に陥っているのではないか?そんな疑問が、実は名鉄内部にもあったようでした。6000系は、そんな意識が生み出した車両ともいえます。名鉄の車両面における大きな転換点となった系列でした。

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 6000系は名鉄初の高性能通勤車で、名古屋近郊の混雑緩和のため、1976(S51)年デビューの後、1985(S60)年まで、毎年増備が行なわれた。初期の車両は通勤輸送と、日中の居住性の向上の両立を狙ったユニークな座席配置が評価され、1977(S52)年の鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞。

 名鉄では昭和40年代、「パノラマカー」の導入が続いていたが、オイルショック以降の混雑の激化に対応できなくなってきており、本格的通勤車の導入が待望された。東急から購入した3ドア車両の実績により、名鉄でも自社開発の通勤車の製造に踏み切る事となり、6000系が開発される事となった。

 車体は「パノラマカー」グループの7700系を3ドア化したような印象の18m級車体で、正面も共通性が高い貫通形となったが、名鉄では初めて貫通扉上部に行先・種別表示装置を設けた。側窓もパノラマカー風の連続窓で、塗装もスカーレット一色が踏襲された。抵抗制御で主電動機は150kwと大型化、MT比を1:1としている。当初は4連で製造され、3次車からは中間2両を抜いた形の2連も製造された。特徴的なのはドア配置で、先頭車と中間車でドアの間隔が異なっている。この他、名鉄が独自に開発した自動解結装置を、当初から標準装備とした。台車はS型ミンデン。

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 車内は、当初は集団離反型の小型クロスシートを、扉間に先頭車は4脚、中間車は5脚配置、着席定員の確保を図った。7次車まで引き続いて採用され、瀬戸線向け6000系にも採用された。クロスシート通勤への名鉄のこだわりを感じさせたが、後に全車輌ロングシート化改造が行なわれている。4次車まで4連×11本・2連×6本の56両が製造。製作次数毎に小変化が見られ、4次車では床面高さを下げた。

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 1980(S55)年製の5次車にして、大きな仕様変更が行なわれた。省エネを指向し、クーラーを3→2台に削減してロスナイを併用する方式となり、即窓が上昇式の独立窓となった。扉の間隔は変わっていないので、先頭車と中間車では側窓の寸法が異なる。8次車まで4連×15本・2連×12本の84両が製造された。
 この内合計36両が瀬戸線に転出している。瀬戸線用編成では不燃化対策や非常梯子の搭載、自動解結装置の撤去や自動案内放送の設置など、瀬戸線の環境に合わせた改造を行なっている。中間車の一部は改番を行なった。


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 1984(S59)年製以降、4連は界磁チョッパ制御の6500系に移行したが、9次車となった2連は支線での単独運用も多く、回生が有効ではないと判断され、引き続き抵抗制御の6000系として製造された。しかし、車体は6500系と共通の非貫通型車体に移行した。前面窓下部には社章付のステンレス飾り帯を貼り、前面窓上部と側ドア上側をグレーに塗装(側ドアは1~8次車にも波及したが、後に全車両スカーレットに戻している)。ドア間隔は、6500系が先頭車と中間車で均等となったことで、先頭車のドア配置が6000系にも踏襲されている。台車はSU型ミンデンとなった。

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 車内は本格的なクロスシートを集団離反型に配置(ドア間に3脚ずつ)、中央扉の両側がロングシートのセミクロス配置となった。なお、後にロングシート化改造を行なった編成がある。2次に渡り2連×8本の16両が製造され、その後は界磁添加励磁制御の6800系に移行した。
 6000系は10次に渡って156両が全て日本車輌によって製造され、一時は名鉄の最大勢力に君臨した。


 5次車以降のクーラー2台+ロスナイ併用車は、1993(H5)年より冷房装置の交換を行ない、能力の強化を行なった(一部例外あり)。1997(H9)年からは、車齢が20年に達した初期車両の特別整備を行ない、車体の補修の他、車イススペースや、側面への行先種別表示装置の設置などを行なっている。

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 1998(H10)年より、一部支線で開始されたワンマン運転に対応した改造を行なった編成が現れた。路線によって改造内容が異なり、蒲郡線・広見線向けは運賃箱や整理券発行機を搭載。扉部に扉扱い表示器を設けている。三河線向けはホームセンサーシステムに対応した扉開閉情報伝達装置を搭載し、2016(H28)年からは大規模なリニューアル工事を行なっている。一方で瀬戸線転属車両は4000系導入により、2014(H26)年までに全車輌廃車となった。その後本線でも置き換えが始まり、2017(H29)年4月1日の時点では、112両にまで減少している。今後は本線の運用はさらに減少、ワンマン運転路線を中心とした支線運用が中心になると思われる。

【編成】
←豊橋・常滑方     名鉄岐阜・新鵜沼方→
 Tc 6000 - *M 6300 - T 6100 - *Mc 6200
 Tc 6000 - *Mc 6200
* パンタグラフ

 クロスシート時代の6000系には中学生だった頃に犬山線で乗った事はあったが、混雑していたので、座席に座る事はありませんでした。2人掛けで825㎜とは市内バスとほとんど変わらず、長距離の乗車ではさすがに辛いと思います。ラッシュ輸送と日中の快適性の両立は昔も今も、名鉄に限らず日本の各鉄道会社の課題としてあり続けているが、私個人の意見としては、クロスシートを導入するのなら、通勤車であってもゆったりしたものを入れて欲しい。できないなら、ロングシートの方がまだ良いでしょう。

 今回の記事は、
「鉄道ピクトリアル 1996年7月臨時増刊号 【特集】名古屋鉄道」
「同 2006年1月臨時増刊号 【特集】名古屋鉄道」
「同 2009年3月臨時増刊号 【特集】名古屋鉄道」
「同 アーカイブスセレクション31 名古屋鉄道 1970~80」(以上 鉄道図書刊行会)
「私鉄の車両11 名古屋鉄道」(保育社 ※現在はネコ・パブリッシングによって復刻)
「とれいん 2014年1月号」(エリエィ プレス・アイゼンバーン)
「私鉄車両年鑑2017」(イカロス出版)
などを参考にさせて頂きました。

 次回は近鉄奈良・京都線の界磁チョッパ車、8810系・9000系・9200系について書きます。

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 小田急バスの電柱衝突事故は、他車との絡みとか、ドライバー自身の健康問題、とかいうのではなさそうだが、現状ではまだ何とも言えないと思います。

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