№2204 バスラマインターナショナル181(ぽると出版)

「バスラマインターナショナル181」、先月25日に刊行されました。
 表紙は阪急グループ3社から1台ずつになり、阪急バスのエルガ、阪急観光バスのセレガ、大阪空港交通のエアロエース(リフト)。そういえば、近年のバスラマ誌では、事業者とゆかりがある名所などが背景としてあしらわれていたのだが、またなくなってしまいました。阪急バスだったら…有馬温泉あたりか?と思うが。

各地の新車から
 京王バスがSORAを2台導入、というのは、既に京王バスのリリースで記されていました。なお、他の導入例もテキストで記されているが、一方で京急バスは8月いっぱいで、大井町~お台場間で運行していたSORAの運行を終了してしまいました。理由は公式WEB上では解らないが(「水素バスの運行を終了します」と一行で記されているだけ)、ウィルス感染禍で利用が落ち込んでいる中、コスト増に耐えられなくなった、という事だろうか?今の所、西日本の採用例を(少なくとも私は)聞かないが、さて、第1号はどこになるのだろうか?

日本初!ボンネット型電気バスデビュー
 バスラマ誌でも、イーグルバスの「小江戸巡回バス」に導入された、EVのボンネットバスが取り上げられました。本来は3月28日(「小江戸川越春まつり」が予定されていた日)デビュー予定で、たぶん情報は入っていたはずだが、ここまで待っていた、という事でしょう。
 ボンネットの車体は、最初は2次架装かと思っていたのだが、そうではなくて、最初からこの形態の車体が用意されていたらしい(日本で小改造を行ったらしいが)。需要の変化が、「大型」ボンネット車の導入を可能にしたという事だが、3月14日に行ったダイヤ改正とルート変更は、この車両を導入するためだったのか。
 ここではEVそのものの技術的な部分はあまり記されていなくて、イーグルバスの沿革にある程度テキストが割かれている。同業他社との関係はどうなのだろうか。西武バスとは、現在は空港バスも共同運行しているから良好と思われるが、同じ川越の観光周遊バスを運行する東武バスウエストとは、やや微妙かも知れない?競争は当然あるとしても、あまり先鋭的な対立には、なって欲しくない(そんな事もないだろうが)。
「6666」と「7777」は、番号そのものの付与の由来は、ここでも記されていなかった。以前のシビリアンや、別ルートのポンチョもゾロ目の登録番号なので、その韻を踏んだのだろうが。あとはいつ、もう1台導入されるかが期待されるが、現状のウィルス感染禍の元では、先になるかも知れない(現在は土休日も、便数が少ない平日ダイヤで運行)。

今注目のバスの感染症対策
 元々新型コロナウィルス感染禍より前から、交通では抗菌対策をやっている所は多々ありました。正直バスは解らないが、鉄道では、例えば去年デビューした京成3100形が、プラズマクラスターイオン発生装置を、各車両に4台ずつ設置しています。他にも最初から抗ウィルス対策を施している車両はあるだろうし、最近はJRなどでも、「ウィルス対策施行済み」旨のステッカーを見かけるようになりました。
「パンデミック」以降、高速バスなどに乗る機会がないので、実物の車内の様子は見た事がないが、プレートが供えられた車内の写真とかを見ると、飛沫防止に役立つだろうし、現状では仕方がないが、正直雰囲気はあまり良くは感じない。茨城の会社では、ベビーカーのフードを改良したカバーを試験的に撮りつけるとかニュースであったが、いつか、そんなものがなくなっても大丈夫な世の中は、来るのだろうか?これを「新しい日常」と、認めたくはないのだが。

バス事業者訪問 217 阪急バス

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 阪急バスは過去に19号(1993(H5)年9月)・95号(2006(H18)年5月)で取り上げられていて、3回目になります。表紙がある程度阪急バスの歴史を反映していて、19号は「高速 西鹿児島」の行先を掲げた西工SHDの夜行バスと路線車(どちらも行先表示は幕式)、95号は行先表示がLEDとなった、高速車と路線車。
 輸送人員は、この10年においては、一般路線は2011(H23)年を底として(関西であっても、東日本大震災の影響は免れなかったか)、その後2017(H29)年までは増加して9,600万人台に達していたが、翌年は若干の減少。高速は年によってかなり上下動が大きい気がする。さらに95号から見ると、一般は1994(H6)~1996(H8)年の10,800万人台がピーク(阪神大震災の影響は、数字上は意外に出ていない)、高速は当時は右肩上がり、という状況でした。
 路線網の比較では、27年の間で基本的には運行エリアの大きな変化は見られない。西谷車庫は、19号は西谷バス(西谷自動車)、95号は阪急田園バスでした。もちろん奥地の支線の廃止も少なくないが、一方で能勢電鉄の妙見口より北への路線が開通しているのが目を惹く。かつては旧京都交通の路線でした(旧京都交通は府境を越えて、亀岡の方まで走っていたが)。
 高速バスは、〔ムーンライト〕がなくなったのが、やはり大きい。もう3年経ったのか。阪急バスと言えども、夜行バスは苦しいだろう。
 車両面では、阪急バスとしてはこんな車両が欲しい、こんな車両を望む、という発言はなかった。環境面ではCNGバスがなくなり、ハイブリッド車が中心になっているが、燃料電池バスやEVには、どの程度の関心があるのだろうか。 
 当面は新型コロナウィルス禍をいかに乗り切るかに全力が注がれる事になろうが、差し迫っていると思われる課題として、3年後に予定される北大阪急行電鉄(おなじ阪急グループだが)の箕面萱野延伸があります。今現在は千里中央から北、船場または萱野までかなり系統が集中し、急行運転という系統も少なくないようだ。この辺の記載はなかったが、鉄道新線開業の影響はどの程度のものになるだろうか。新駅(箕面萱野あるいは箕面船場阪大前)に接続する形態に再編成されるのでしょうか。
(箕面船場にも出張所があるが、「路線概要」には記載がない)

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 95号から大阪空港交通も加えられているが、空港アクセスはここに限らずどこも、現在のウィルス感染禍は深刻。アクセス自体がウィルス対策が万全でも、航空の動向次第になるので。9月に入って国内線も再度大幅減便というようでは、苦境はまだ続きそうだ。とにかく航空需要の回復を待つ以外、ないのでしょう。リフトバスなんてもったいない話だが。

バスラマ創刊30周年記念インタビュー
 みちのりホールディングスCEOの松本 順氏。
「『スケールメリット』はバス業界にはあまり存在しない」という発言は、意外と思った。そういう理由でグループ化ではない。そうではなくて、「ベストプラクティス」の創出に、複数のバス会社のグループ化のメリットがあるのだという。確かに高速バスあたりはともかく、一般の路線バスだと地域によって状況はかなり異なるから、A社ではすぐできる事でも、直接B社に当てはめる事は出来ないだろうから。
(その観点で言うと、常々地元としては、湘南モノレールを引き受けたのはなんでだろう?とも思っています。福島交通が鉄道もやっているが、湘南モノレールに応用できそうな内容はほとんどないだろう。逆も同じ)
 コロナ禍の現状に関しては、「地方分散の時代が来るだろう(大都市のオフィスに行く必要がないから)。ただ、中距離の移動は増えるのではないか」という希望的な分析もあるが、一方で、オンライン・リモート化は医療の分野に及んでいて、通院の乗客数にも影響が出ているという。これは、通院の利用に支えられている部分が多いだろう地方路線としては、かなり心配な材料ではないでしょうか?実際、みちのりに限らず、地方のバス路線の時刻表などを見ると、地域の大きな病院を経由する路線が相当あるので。「高齢者の免許返納・若者のクルマ離れは追い風」とも語っているが、そうなればいいなとは思うが、前号で書いた事のまるまる繰り返しになってしまうけれど、「公共交通による感染」(いくら事業者が上で書いたような対策を施し、「そんな事はないんだ」とPRしたとしても)を恐れた利用者が、マイカーや自転車に転移する事で、バスを含む公共交通の利用が減少してしまうのではないか、という懸念はあります。自分がクルマを持たなくたって、カーシェアリングとかいう方法もあるし。東京では「GoToトラベルキャンペーン」から東京都発が除外されたことで、都内の行楽地に都民が集中、奥多摩の日原鍾乳洞が大渋滞になって、西東京バス路線の運行に悪影響(通常の3倍かかる大幅遅延)が出ている、という話も聞いています。やはり最終的には、地域の住人をはじめとする、バスを取り巻く市民の意識にも関わってきます。彼らにどう訴えるか。
 全体を読んだ感触では、前号の両備HDの小嶋氏とは、同じ「公共交通を守る」にしても、方向性が多少違うように感じられた。ウーバーの影響とかには触れているが、同業が新規参入すると言ったらどうするのか、という所までは語られていない(みちのりHD傘下の各社とも、岡山のような先鋭的対立が発生しているとは聞いていないが)。法規的な事は持ち出さず、「まずは自己の経営をしっかり固めて、安定した収入を得る事で公共交通を守る」という思想のように思われました。みちのりに関しては、個人的にはむしろ、既にある同業他社との関係はどう構築するのか、そこを聞きたかった。茨城交通はICカードで「いばっぴ」を導入したが、関東鉄道グループのPASMOや、JR東日本のSuicaとの互換性がなく、特に水戸市内の利用者にとってはどうなのかと思う。岩手県北自動車も、岩手県交通とは、どのような関係を築きたいのだろうか。
 ここでもEVの普及を期待しているが、「エンジン駆動のサプライチェーンが確立していて、簡単には産業構造は変えられない」の文言には、耳を傾けるべきと思う。それでもEV化は待ったなし、とは言うが、本格的なEVバスを造りたいなら、現状のディーゼルバスの延長線上ではもうダメ、全く新しい設計にしなければならない、というのは、私も感じてきている所。しかしそれなら、ピュアディーゼルエンジンのバスを造る事を前提にしている構造をどう変えるかは、実は結構難題のようにも思える。技術的な部分はシロートなので解らないが、その点はメーカーサイドも考えるべきだろう。
(シンク・トゥギャザーのように、他のしがらみがない、全く新しいところから生み出される可能性もあるが、高速で走る大型バスだと簡単ではないだろう)
 ここでは、岩手県北自動車による、南部バス吸収については触れられていなかった。

「バステクフォーラム2020」、ともかく無事に開催できて良かったです。個人的には、オノエンスターの大型バスはやはりどこかあか抜けない印象があるし、特に中ドアの位置と幅が変えられないと、流動性はどうなのかとも感じるが、ともかくアルファバスも含め、日本の市販第1号はどこになるだろうか。既に会津バスも含め、日本でも相当数普及しているBYDに、どこまで迫れるでしょうか?(米中貿易紛争が影を落とさなければ良いが。特にBYDはトランプ政権に狙い撃ちされているので)
 海外のバスのニュースが、やはり少なくなってきている。特に欧州は、国を跨ぐ路線が少なくない(通勤バスにだってある)が、国によってウィルスの感染の状況や、その対策はかなり違う。特にフランスやスペインはまた感染者がかなり増えてきているそう。彼の地ではどのような対策が施されたのか、ある程度落ち着いて、海外に取材に行ける状況になったら、まとめて取り上げられればと思っています。
 ドイツに挑んだ韓国人バスドライバーの連載については、次号でまとめて感想を書きたいと思います(ドイツではバスとトラックでは免許が違う、とは以前どこかに書いてあったと思う)。韓国のバス情報は休止。

 ニュースを見ると、こんな状況下でも新しい路線を開設する事業者、結構ある…。
 次号の予告は、地元も地元、横浜市営バス。当然、今号で速報した「BAY SIDE BLUE」は、扱いが大きくなるでしょう。発売前に、一度乗ってみて、その感想を踏まえて、テキストを読みたいと思っています。

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《今日のニュースから》 カッコ書きは新型コロナウィルス感染関連
31日 「甲子園の土」キーホルダー 全国の高校球児に贈呈
(Bリーグ コロナ対策ガイドライン公表)
 1日 Jリーグ ベガルタ仙台 女子チーム経営権「マイナビ」譲渡を発表
(新型コロナワクチン共同購入 加藤厚労相 参加意向表明)
 2日 青森県むつ市の核燃料中間貯蔵施設 事実上合格の審査書案とりまとめ
(新型コロナウィルス感染状況公表 沖縄県・石川県「ステージ4」)

 7月豪雨の傷が全く癒えていないのに、台風9号・10号が九州地方に近づいています。特に10号は「特別警報級」になる恐れがあるそう。日本接近は日曜日になるそうだが。とにかく、最低でも人的な犠牲が出ない事、そしてもうこれ以上、交通機関に重大なダメージが出て欲しくありません。既に九州はズタズタなので。

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