№2297 京浜急行バス 夜行バス終焉

京浜急行バス ノクターン.jpg
 京浜急行バスは15日、夜行高速バス4路線、弘前線〔ノクターン〕と盛岡・宮古線〔ビーム1〕、鳥取・米子線〔キャメル〕、それに徳島線〔エディ〕の運行を、3月いっぱいを持って終了するとリリースしました。
〔ノクターン〕は共同運行相手の弘南バス、〔ビーム1〕も同じく岩手県北バスの単独運行で運行が維持されるが、〔キャメル〕は全面的に廃止になります。〔エディ〕は、この路線だけ「廃止」ではなく「休止」としていて、将来的な運行再開にも含みを持たせているのかなあと思うが、徳島バス(〔ムーンライトエディ号〕と呼称)も運行せず、路線そのものが取りやめ、という事になります。
 これで京浜急行バスは、夜行高速バスからは全面撤退になります。

〔ノクターン〕は、1986(S61)年12月に運行を開始、対鉄道における運賃の安さ、当初から3列シートのデラックス車の導入による快適さを武器に、絶大な人気を誇りました。弘前は青森県では青森、八戸に次ぐ第三の都市なので意外な設定とも見られたが、当時は東北新幹線もまだ盛岡までだったし(高速バス〔ヨーデル〕への乗り継ぎが普通だった)、旧国鉄の夜行は、直行は奥羽本線秋田経由の寝台特急〔あけぼの〕・急行〔津軽〕で時間がかかり、東北本線経由だと青森乗り換えが必要なので、対鉄道で優位に立てるニッチな市場があったという事なのだろう。通常でも2台以上、ピーク時の年末年始は、十数台の臨時便が運行されていたとも聞いています。
 当時、夜行バスは既に旧国鉄の〔ドリーム号〕があり、加えて№1653でも書いた、阪急バス・西日本鉄道の〔ムーンライト〕が、昭和末期の「夜行バスブーム」に火をつけました。〔ノクターン〕の成功が決定的となり、これを機に、日本の各バス事業者は相次いで夜行を中心とした高速バス事業に参入、全国に夜行バス路線がが津々浦々張り巡らされる事になります。一般のニュースでもたびたび取り上げられていました。京急自体も、1988(S63)年には〔キャメル〕をスタート、その後対東北・中国・四国を中心に夜行バス路線を展開していきました。品川に高速バスの専用バスターミナルを整備した事も、話題になりました。
 趣味的には、路線ごとに異なるカラーリングが施されていたのが楽しく思えました。京急バスだけではなかったのだが(近鉄バスなどもそうだった)。上の画像の車両もそうで、〔ノクター〕は他にもいくつかパターンがあったのではなかったかな?結局、運用の効率もあってか、後には〔キャメル〕のカラーで、夜行バスはほぼ統一されていくが(コミュニティ的な路線に使用されるリエッセやポンチョなどにも見られる)、〔ノクターン〕は、オリジナルカラーが維持されていきました。

 今回の4路線の廃止・休止・撤退について、京浜急行バスは「旅客需要の変動」を理由に挙げています。コロナ禍がとどめを刺したのは間違いないが(現在、京急バスの夜行は全て運休中)、それ以前から、需要の減退は起きていたのだろう。JRグループの夜行列車は〔サンライズ〕を除いて定期列車が全滅して久しく、状況は夜行バスにとってはさらにプラスに働いていたはずなのだが、旧ツアーバスから転換した高速バスとの競合に敗れていたのだろうか。東北も激戦区になっていたようだったのは、青森や秋田のバスターミナルを見て感じていた事でした。〔ノクターン〕のパートナーの弘南バスも、別に自社単独の旧ツアーバスからの転換路線を運行しているし。
〔ムーンライト〕もそうだったが、日本の長距離バスは、一地方の事業者が、他地域の事業者と共同運行する方式で路線を展開していったのが普通でした。市内バスと長距離バスで事業者が違うのが普通(だと思うが)の他国とはこの点、発展の在り方がかなり異なっていたと思います。21世紀に入って以降、規制緩和でその枠組みにこだわらない、特にツアーバス形態の「高速バス」が相次いで生み出されると、コスト面で太刀打ちが出来なくなっていきました(副作用で、関越や軽井沢のような惨事も惹き起こされるのだが)。また、特にこの10年間は一般路線のドライバー不足が深刻化し、地域の路線の運行を維持するためには、長距離バスは運行を取りやめにせざるを得なくなった、という事も、多くなったようです。京急バスも夜行のみならず、昼行の鹿島神宮線・日光鬼怒川線からの撤退を発表しています(どちらもパートナー事業者は運行を継続)。京急バスも一般路線は減便が相次いでいて、防衛の対策の意味もあるのでしょう。地域路線から発展した在来型事業者の宿命・弱点と言えるのかも知れません。

〔ムーンライト〕も廃止から既に4年経ち、今回〔ノクターン〕も、となると、特に地域の路線バス網に地盤を置く在来の事業者による、従来型の共同運行方式の夜行バスは、急激に縮小に向かうような気がします。路線のロケーションにもよるが、京急バスでさえそうなるなら、もう少し小規模の事業者は、維持が難しくなっていくのではないか。コロナ禍より前から、既にその傾向は見られました。今後の長距離夜行バスは、一般的な市内バスを持たない、あるいは少ない、長距離バスのみをほぼ専門に扱う事業者、そうでなくても、広域のグループ(みちのりHDのような)の内部の事業者による路線に、収れんされていくように思います。コロナ禍がいつ終息するのか、その後の長距離バスの需要はどうなるのか、シロートには見通すのが極めて困難だが、少なくとも、今回の京浜急行バスの夜行路線からの撤退は、業界内部における、高速バス事業の一大転換点になると思われます。

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 阪急電鉄が有料の座席サービスの検討を始めたと、NHKのニュースサイト(関西版)が伝えました。既に京阪特急の「プレミアムカー」、JR西日本新快速の「Aシート」があるから、阪急も何か考えるのではないかと思っていたが、コロナ禍で動きが加速しているようです。ダイヤはどこも全体的に、深夜を中心に縮小傾向に向かうのだろうが(阪急もすでに、阪神や神戸電鉄共に、3月13日から最終電車繰り上げと発表している)、一方で有料座席サービスは、広がっていく事になるのだろうか。関東でももうすぐ、中央線快速にグリーン車が連結になるし、京急は5月に新車両導入で〔モーニングウィング〕の増結を行うし、中央線快速も間もなく、グリーン車の連結が始まります。

《今日のニュースから》
21日 池江 璃花子 東京都オープン 復帰後初優勝
(東京都 272人感染発表 7日間の平均は基準超)

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