№708 誰が大惨事を「風化」させるのか

 昨日の最後に少し書いた事で繰り返しになる部分もあるのですけれど、改めて記したい事があります。
 18年前の1994(H6)年4月26日、台北から名古屋(セントレア開港前で、今の県営名古屋飛行場の事)に向かっていたチャイナ・エアライン(中華航空)のA300-600Rが着陸に失敗、滑走路付近に墜落し、264名もの犠牲者を出すという大惨事が発生しました。
 あの日私は夜行高速バス<シリウス>に乗るべく東京行の東海道線の車中の人になっていたのですが、本当に何気なく、手持ちのCDプレーヤーでTVの音声を拾っていたら(デジタル化した今はもう出来ない)、既に臨時ニュースが流れていて何事?と思っている内に中華航空機が着陸に失敗したらしいと、さらに翌朝、<シリウスが>どこかのSAで停車している最中にラジオニュースを受信して、事故の全容が判明した、そんな記憶があります。
 あの年はこの直後、F1レースでアイルトン・セナが事故死、という事もあり、騒然としたGWになってしまいました。

 直接の事故原因は、多少乱暴にはしょると、「コクピット・クルーが着陸の降下中に間違ってゴー・アラウンドモードを発動させてしまい、修正が効かないまま失速状態に陥って墜落に至った」という事のようです。
 しかしこの事故では、背景に「中華航空のパイロットの養成システムに問題があった」(軍人出身が多かったとの事)、「パイロットが飲酒していたのではないか?」(実際はどうだったのかは不明)、別に「エアバス機のオートパイロットシステムにも問題があった」(これについては№380で取り上げた「プロフェッショナル・パイロット」で杉江弘氏が触れているのでそちらを読んで下さい)など、様々な遠因が取りざたされました。
 また航空機事故調査のあり方や、遺族等への補償問題など、後々まで様々な課題を提起する事ともなりました。

 ところで今回問題にしたいのは、あれから18年経った、この事故に対するジャーナリズムの対応です。
 昨日、事故現場に近い「やすらぎの園」に遺族の方々が集まって献花、事故発生時刻の20時15分に黙祷した、という事です。
 ところが、今朝配達された朝刊には、そのような事はいっさい書かれていませんでした。
 確認の意味で仕事帰りに図書館に立ち寄り、今朝の朝刊全てをチェックしてみたのですが、少なくとも朝日・読売・毎日・日経・産経の5大紙には全く記されていません。
 一応昨日の夕刊も見ましたが、やはりありませんでした。
 愛知の地方版だったらさすがにあったでしょうが、地方版だけで済む事ではないはずです。
 前日のJR福知山線事故や、日航ジャンボ機墜落事故のような合同慰霊式という体裁が取られていない事もあるのでしょうが、264人も犠牲になった、世界でも有数の大惨事にしては、随分と冷ややかではないですか?
「小沢一郎民主党代表への無罪判決」があったといっても、ベタ記事にすらならないとは、「間違っている」と思うのは私だけでしょうか?

 この手の大惨事が起きる度に、ジャーナリズムは決まって「風化させるな」と叫ぶけれど、この態度では、ジャーナリズムが大惨事の風化の手助けをしてしまいそうです。
 先にも書いた通り、この事故では今に至るまで数多くの課題を提起しており、特に「事故の際の遺族への補償」という点では、LCCの台頭で場合によっては再度問題になる可能性があります。
(実際遺族会にはその点を懸念する声があるようです)
 しかし今般のジャーナリズムの対応を見ると、「普段は知らん顔していて、何か大事が発生して初めて大騒ぎ」という悪癖が繰り返される事になりそうです。

 中華航空機事故に関しては、発生日の4月26日がチェルノブイリ原子力発電所の事故の日でもあり、今後も福島第一原発事故と関連付けて大々的に報道されるはずなので、その片隅に追いやられてしまう危険があります。
 日本ではこの他にも残念ながら、大小様々ながら決して事故が少ない訳ではなく、来月14日は信楽高原鐵道正面衝突事故発生日になるのですが、このままでは、よほどセンセーショナルな事件事故でもなければ、案外あっさり世間から忘れ去られる事象は多くなりそうです。
(事故じゃないですけれど、昨年の今頃、焼肉チェーン店の集団食中毒事件があった事、覚えていますか?)
 まあ大震災・原発事故は極端としても、今後も日本の内外で世界中を震撼させるような大事件は繰り返し起こるのだろうし、何でもかんでも記憶に留めておくのは不可能である事も、また事実なのかもしれません。
 しかしだからかこそ、特にジャーナリズムは自らが事件を風化させないような啓発を行わなければならないし、私達もジャーナリズムに対し、積極的に声を上げるべきではないでしょうか。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

********************

《今日見た・聞いた・思った事》
 大手私鉄各社の、今年度の鉄道事業設備投資計画の発表のシーズンが来ました。
 思うに、関東の各社は比較的積極的にリリースするのに、関西は控えめと思えるのは気のせいでしょうか?
(私の見落としもあるのかも知れない。だとしたらゴメンナサイ)
 昨日は東武、今日は小田急からリリースが出ました。
 東武でちょっと驚いたのは、野田線に新型車両を導入するという事。
 まず2編成12両という事らしいですが、野田線に改造でなく純粋な新型を直接導入するというのは、いつ以来になるのでしょうか?
 東上線に50000系シリーズを追加投入し、意味を失った10000系6+4連分割編成(の6連)を野田線にコンバート、というシナリオを思い描いていたので、ちょっと意外でした。
 それだけ野田線の地位が上がっているという事も言えるでしょう。
 小田急は、車両面では4000形1編成の投入のみ。
 ロマンスカーの増備はなく、7000形「LSE」は2編成ともD-ATS-Pが装備されていると聞いていますから、しばらくは現状維持なのでしょう。
 下北沢の複々線化工事については、6月8日終電後に、最後の仮線切り替えが行われるとの事。
 しかし地下線の開通は2013(H25)年中を目指すとしていて、まだ1年程度はかかるのか…。  

 こんな列車が必要なほど、沿線は火災が多いの?
 人家が極端に少ない、という事もあるのでしょう。
《今日のニュースから》
ロシア鉄道「消防列車」 ウラジオストックで初公開