№1197 土佐電・県交通統合 高知県の公共交通 一大転機

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 土佐電気鉄道と高知県交通の2社が、経営統合に向けて大きく動き出しました。
 昨日、両社(以降土佐電ドリームサービスを含む)の株主総会で、今月3日に締結された「共同新設分割計画書」がそれぞれ承認されました。
「共同新設分割計画書」は、4月28日の「第6回中央地域公共交通再構築検討会」で示された経営統合のスキームで、

① 両社は10月1日に新会社を設立、事業の継続に必要な資産や従業員を承継する。
② 新会社には、高知県や関係自治体が合計10億円を出資し、株主となる。
③ 新会社への事業承継後、両社は清算される。

というのが、大雑把な流れになります。
 両社とも子会社がいくつがあるが(高知西南交通など)、これらも新会社の子会社とされるようです。
 計画書が承認された事で、来月には新会社設立の準備委員会が設立され、手続きが進められる事になります。
 四国銀行などの金融機関は、両社合計で26~28億円の債権を放棄。
 株式はほとんど全てが県などの自治体が保有する事になり、ほぼ公営化されると言っても良いかと思います。
(県の尾崎知事は「第三セクター化だ」としている)
 経済はオンチだからうかつな事も言えないが、確かに両社合計の負債は巨額ではあるが、一昨年の井笠鉄道が約32億円だったそうだから、経営規模からすればまだ何とかなりそうだとも言えます。井笠鉄道のような一大事に陥る前に手を打ちたかった、という事ではないでしょうか。

 両社の経営統合は既に1990年代から話としてはあったようだが、決定的なきっかけとされたのは、昨年の土佐電のトップの不祥事による退陣とされます。
 全県規模の経営統合、しかも「公営化」は私が知る限りではほとんど例がなく、特にバスに関しては、JR四国バス大栃線や、そのJRバスを引き継いだ一部の地元小規模事業者などを除くと、ほぼ全路線が新会社(グループ)に一本化される事になります。

 会社の経営そのものに関しては他に譲るとして、最大の関心事はやはり、新会社がバスや路面電車の運営をきちんと行っていけるのかどうか。公主体だからと言っても甘くはないでしょう。当面は両社で競合するバス路線の再編成などが中心になるだろうが、最低限、現在の利用者をつなぎとめておけるのか、また、電車・バスとも老朽化が進んでいるが、必要な設備投資は行っていけるのか。
 課題が山積みなのは誰にも解かる事ではあるが、とにもかくにも、大実験とも思えるこの政策がうまく回って、県の公共交通が維持・向上する事が期待されます。

 高知県のケースで明らかなように、公共交通はもはや特定の路線・エリアの存廃云々の議論では済まなくなってきているようです。
 井笠鉄道もそうだし、北近畿タンゴ鉄道も(「あかまつ」「あおまつ」「くろまつ」運行で一見好調に見えながら)上下分離方式を採用して運行をウィラー・エクスプレスに譲渡するとか、もはや話は事業者単位でのあり方のレベルになりつつあります。
 どの方法が良いのか、それぞれの地域の特性などもあるから何とも言えないけれど、一つだけはっきりしている事。
 何度も書いているが、

「『公共性』『環境』だけを声高に叫んで利用の促進を図ろうとするのは、もはや正しい方向ではない」

これだけは間違いないです。
 私自身「甘ちゃん」な所が多いけれど、少しはシビアな目線で公共交通を見て行かなければならない、そう感じています。

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《今日のニュースから》
圏央道 相模原愛川IC~高尾山IC開通 東名・中央・関越道直結

 来年度までには藤沢~成田270㎞が開通との事。この事は、特に高速バスにはどのような影響を与えるか。要注目。